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兵藤恵昭の blog

団塊世代のおっさんです。思いついたことを勝手に書いています。

明治17年博徒大刈込(博徒史 その6)

明治14年、松方大蔵卿のいわゆる松方デフレ政策で米価が値下がりする一方、増税により、小作農への転落による農民層の貧困化が激しくなっていた。この情勢の中、明治15年から明治18年にかけて全国で農民の騒擾事件が続発する。同じ時期に明治政府による博徒集団に対する一斉取り締まりが実施された。その特徴は通常手続きによるものでなく、社会安定を目的とした緊急博徒取締による一斉検挙であった。

明治17年1月、太政官布告の「賭博犯処分規則」により警察の行政措置で処罰が可能となると、博徒検挙は全国規模で行われた。長谷川昇氏の「博徒と自由民権」によると、愛知県の名古屋監獄に収監された主な博徒は以下のとおりである。

近藤実左衛門 59歳 農業  (懲罰5年・過料金300円) 熱田警察署   

           愛知郡上郷村
原田常吉    53歳 農業  (懲罰7年・過料金350円) 御油警察署               宝飯郡平井村
栗田新吉    36歳 撚糸業 (懲罰5年・過料金300円) 岡崎警察署               額田郡和合村
斉藤和助    31歳 農業  (懲罰5年・過料金300円) 岡崎警察署               碧海郡棚尾村
井上吉松    57歳 口入業 (懲罰4年・過料金200円) 枇杷島警察署 

            東春日井郡瀬戸村
須崎岩五郎  44歳 理髪業 (懲罰4年・過料金200円) 熱田警察署   

           愛知郡千篭村
岡島次郎吉  58歳 農業  (懲罰4年・過料金200円) 熱田警察署   

           西春日井郡味鋺
鈴木庄三郎  34歳 農業  (懲罰4年・過料金200円) 岡崎警察署   

           額田郡久後崎村

この時、静岡県においても清水次郎長が(懲罰7年・過料金400円)、清水一家の後継者である増川仙右衛門が(懲役6年・過料金300円)処罰となっている。当時、米の値段が1石5円14銭であるので、過料金400円は現在の金額で言うと約400万円になる。

愛知県で検挙された博徒は、原田常吉は平井一家、栗田新吉は形の原一家・生田派、近藤実左衛門は北熊一家、斉藤和助は形の原一家別派、井上吉松は瀬戸一家、須崎岩五郎は山崎一家、岡島次郎吉は北熊一家の舎弟で山崎一家、鈴木庄三郎は吉良一家の各親分である。それぞれの親分は、幕末から次郎長、勝蔵等の博徒とともに血なまぐさい闘争を続けてきた武闘派の博徒であった。